店舗のブランディングにおいて、「ロゴ」「グラフィック」「内装」の統一感は、お客様に与える印象を大きく左右します。バラバラな要素が混在していると、せっかくのコンセプトが伝わらず、リピートや口コミのきっかけも失われがちです。この記事では、店舗デザインに一貫性を持たせるための具体的な考え方と実践ステップをご紹介します。
1. ブランドの“世界観”を定義する
まずは「自分たちはどんなブランドでありたいのか」を言語化しましょう。
以下の3つの視点で整理すると、ブランドの世界観が明確になります。
🎯 誰に届けたいか(ターゲット)
例)30代共働きの夫婦
例)健康志向の女性
🌟 何を届けたいか(価値)
例)素材の良さを活かしたシンプル料理
🏠 どう届けたいか(方法)
例)木の温もりある空間でゆったりと
この世界観が、ロゴ・内装・メニュー表などの全体デザインの出発点になります。
- 色:自然・温かみ・高級感など、ブランドの感性に合うカラーパレット
- 形:ロゴやフォント、アイコンに統一されたトーンを
- 言葉:キャッチコピー、メニュー名、SNS投稿の言い回しにも一貫性
- 音:BGMや店内アナウンスにブランドの温度感を反映
- 香り:内装の香りや商品からも印象付けを
2. ロゴは「記号化」と「意味性」のバランスで考える
ロゴはブランドの“顔”です。ただおしゃれなだけでなく、ブランドの軸を象徴する要素を取り入れましょう。
例:
- ナチュラルな料理店なら → 手書き風のフォント+葉や大地のモチーフ
- 高級感を打ち出したいなら → シンボリックなマーク+セリフ体や金色など
重要なのは、店舗看板、メニュー、Webサイト、SNSのアイコンまで展開しても違和感がないかを想定することです。
3. カラースキーム(色調)を統一する
色は印象を決定づける大きな要素です。ブランドカラーは多くても3色以内に絞りましょう。
- ベースカラー(主役):店舗の壁やロゴの地色など
- メインカラー(印象づけ):ロゴの文字色、椅子やテーブルなど
- アクセントカラー(差し色):メニューの装飾やSNS投稿
この色調がブレないことで、空間にもロゴにも安心感と覚えやすさが生まれます。
🔸 カラースキーム(色調)例
店舗全体で「色のトーン」を揃えることで、ブランドの世界観が自然と伝わります。例えば、ロゴ・内装・メニュー表・ユニフォームなど、すべてが同じ方向性を持つことで、一貫性のある印象に。
温かみや安心感を演出。
例:オーガニックカフェ・和カフェ
洗練されたスタイリッシュ感。
例:海沿いレストラン・シーフード店
やさしさ・かわいらしさを表現。
例:スイーツカフェ・フレンチビストロ
💡 ポイント:Webサイト・SNS・ショップカードなども、同じカラートーンに統一しましょう。
迷ったときの基準
→ 自店舗のコンセプトワード(例:やさしさ・和・モダン・高級感)に合う色を選定すると統一しやすいです。
🍽️ 飲食店で人気のカラーパレット5選
01. 和風・高級感
深い赤や茶系で落ち着きと上質さを演出。和食や割烹料理に最適。
02. ナチュラル・ヘルシー
グリーンとベージュで自然食やカフェにぴったりな穏やかな印象。
03. モダン・スタイリッシュ
無彩色ベースで都会的な印象。イタリアンやフレンチレストランに。
04. 明るく元気
オレンジや黄色系で活気と楽しさを。ファミリー向けやカジュアルダイニングに。
05. クール・清潔感
ブルーとホワイトで清涼感を表現。シーフードやスイーツ店におすすめ。
4. 内装・家具・装飾はロゴの“延長線上”に
内装やインテリアは、ロゴと色調を元に「素材」「質感」「照明」まで統一を意識しましょう。
具体例:
- ロゴが柔らかい雰囲気なら → 木目調、布、自然素材、間接照明
- ロゴがスタイリッシュなら → モルタル、アイアン素材、直線的な什器
さらに、スタッフの制服やメニューブックの表紙、店内BGMまで含めると、ブランド体験がより一貫します。
5. プロに任せる前に「方向性」を明確にしておく
ロゴや内装デザインを外部に依頼する場合も、ブランドの方向性を具体的な言葉と画像で伝える準備をしておくと、完成度が一気に高まります。
- PinterestやInstagramで「好きな雰囲気」を集めておく
- 自店舗のブランドステートメントを簡潔にまとめる
- ターゲットや提供価値について話せるようにしておく
「プロに丸投げ」は危険です。発注者の準備があるかどうかで、仕上がりが大きく変わります。
まとめ|“印象を統一すること”は最も強いブランディング戦略
ロゴ・デザイン・内装の統一感は、単なる見た目の話ではありません。お客様の記憶に残る体験をつくるための設計です。
一貫性のあるブランドは、SNSでも映え、紹介もしやすくなり、働くスタッフにも誇りを持たせます。
小さなお店こそ、世界観を整えることが、長く選ばれるための鍵になります。