飲食がこれからも必要とされ、愛される業界であるために    時代のニーズに対応する店舗、商品・メニュー開発、オペレーション作りで顧客満足度・利益向上をサポートいたします

飲食店の5Sと衛生管理|梅雨時期も安心・安全な店舗運営のために

1. はじめに|飲食店における「衛生管理」の重要性

飲食店にとって「安全な食」を提供することは、お客様からの信頼を得るための基本です。特に梅雨から夏にかけての高温多湿な時期は、食中毒のリスクが高まり、わずかな油断が重大な事故につながりかねません。

実際、細菌性食中毒の多くは気温・湿度の上がる6月〜9月に集中しています(参考:食中毒菌の基礎知識)。この時期こそ、店舗全体で衛生意識を再確認し、リスクを未然に防ぐ体制づくりが必要です。


2. 飲食店の「5S」とは?|整理・整頓・清掃・清潔・しつけ

衛生管理の第一歩は「環境づくり」です。その基本となるのが「5S」。これは以下の5つの要素から成り立ち、飲食店においては特に実践的な管理手法です。

5S意味飲食店での実践例
整理不要なものを捨てる使用期限切れの食材や備品の廃棄
整頓必要なものを使いやすく配置調理器具を定位置に保管
清掃汚れを除去するキッチン、冷蔵庫、床の定期清掃
清潔清掃された状態を維持する衛生チェックリストによる管理
しつけ習慣化・ルールの徹底手洗いや消毒を徹底し、教育する

「5S」は見た目の美しさ以上に、異物混入の防止交差汚染の回避といった重大リスクの予防に繋がる取り組みです。


3. 衛生管理と5Sの連動|現場で機能させるために

5Sが整理整頓のためだけの仕組みだと捉えられがちですが、本来は衛生・安全を支える基本動作です。特にHACCP導入が義務化された今、衛生管理の記録と実行を支える土台として、5Sを見直すことが重要です。

たとえば、

  • 整理不足の冷蔵庫:温度管理が甘く、食材が傷むリスク
  • 整頓されていない調理台:調理中に異物混入の恐れ
  • 清掃がルーチン化されていない床面や排水溝:ノロウイルス・カビの温床に

衛生対策を現場で「動かす仕組み」として、5Sを再設計しましょう。

整理(Seiri)
必要なものと不要なものを分け、不要なものを処分します。
整頓(Seiton)
必要なものをすぐに使えるよう、使いやすく整理整頓します。
清掃(Seisou)
常にきれいな状態を保ち、職場環境を良くします。
清潔(Seiketsu)
3Sの状態を標準化して維持する仕組みを作ります。
しつけ(Shitsuke)
ルールを守る習慣を定着させ、自主的な行動を促します。

詳細は梅雨時期の食中毒対策②もぜひご参照ください。


4. 梅雨時期に要注意!季節ごとの衛生管理ポイント

高温多湿な梅雨期は、食中毒菌やカビが最も活性化する季節です。以下の点に特に注意しましょう:

  • 手洗い・手指消毒の徹底:湿度が高い時期は雑菌が繁殖しやすいため、洗浄・消毒を強化
  • 冷蔵庫・冷凍庫の温度管理:ドアの開閉が増える時期。記録表でチェックをルール化
  • まな板や布巾の殺菌:交差汚染を防ぐための重要ポイント
  • 食材納品時の検品強化:配送時に既に傷んでいる食材もあるため、チェックは必須

店舗全体で「季節ごとの衛生意識」を共有することが事故防止の第一歩です。


5. 衛生管理チェックリスト|スタッフ全員で共有しよう

日々の業務に追われる現場でも、「見える化」されたチェックリストがあると実践しやすくなります。以下のような内容で、毎日の業務に取り入れてみましょう:

  • □ 出勤時の健康チェック実施
  • □ 手洗いマニュアルに従って実施
  • □ 食材の賞味期限・状態確認
  • □ 調理器具・シンク・床などの清掃
  • □ ゴミ箱の蓋・周辺の清掃確認
  • □ 冷蔵庫温度・湿度の記録と確認
  • □ 洗浄機や排水溝の清掃確認

可能であれば、チェックシートをデジタル管理(タブレット等)することで履歴を残しやすくなり、衛生監査対応にも有効です。


6. HACCP対応の基本|5Sとつなげて安全管理をシステム化

2021年6月より、すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理の導入が義務化されました。HACCP(ハサップ)とは、食品の安全性を確保するために、製造工程ごとに危害要因(異物・細菌など)を分析し、重要管理点を継続的に監視・記録していく衛生管理手法です。

HACCPの導入といっても、個人経営の飲食店などでは「衛生管理計画と実施記録の作成・保存」が中心となる**簡易HACCP(基準B)**での対応が可能です。

たとえば:

  • 食材受け入れ時に温度や状態を記録
  • 調理器具の洗浄・殺菌をチェックリスト化
  • 調理後の冷却・保管時間を記録
  • 毎日の冷蔵庫温度や健康チェック記録を保存

これらの取り組みは、前述の「5S」や「チェックリスト」と密接に結びついており、HACCPは5Sの実践を見える化・記録化する仕組みともいえます。

詳しくは、HACCP導入の基本| にて、対応の流れや記録例をご覧ください。


7. まとめ|5S×衛生管理で「信頼されるお店」へ

飲食店における衛生対策は、「やっているつもり」では通用しません。5Sの徹底+食中毒対策の実行+スタッフ教育という三位一体の取り組みこそが、事故防止と顧客満足の鍵となります。

「5Sで現場が変われば、衛生も売上も変わる」

まずはできるところから見直し、習慣化していくことが何より大切です。


関連リンク

梅雨時期の食中毒対策①|食中毒菌の基礎知識

梅雨時期の食中毒対策②|対策とチェックポイント

▶ 【保存版】食品衛生・厨房管理 特集一覧(近日公開予定)


1
Plan(計画)
目標を設定し、現状を分析したうえで具体的な行動計画を立てます。「いつ・誰が・何をするか」を明確にします。
2
Do(実行)
計画に基づいて行動します。実行段階では、記録やログを残しておくことで後の検証がしやすくなります。
3
Check(評価)
実施結果を確認し、計画通りに実行できたかを検証します。成功点・失敗点・改善点を洗い出します。
4
Act(改善)
評価で得た結果をもとに改善策を講じ、次のサイクルに活かします。ここからまた次の「Plan」へとつながります。
>食と空間の創造 ーその未来へー

食と空間の創造 ーその未来へー

飲食がこれからも必要とされ、愛される業界であるために、食の多様性、時代のニーズと共に変化していく必要がある現代お困りなことがありました是非一度ご相談ください!

CTR IMG