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飲食店が知っておくべき食中毒菌の基礎知識

種類・特徴・対策を徹底解説

梅雨から夏にかけて、飲食店で特に注意したいのが細菌性食中毒です。気温と湿度が高まるこの時期は、細菌が一気に増殖し、わずかな油断が大きな事故につながることも。この記事では、飲食店で働く方が知っておくべき基本的な食中毒菌の種類とその特徴、具体的な対策について、表を使いながらわかりやすく解説します。


食中毒の主な原因「細菌」の基礎知識

細菌性食中毒の多くは、不十分な加熱・手洗い不足・交差汚染・常温放置が原因です。とくに調理器具や手指を介して他の食材へ菌が移る「交差汚染」が起こりやすく、毎日の衛生習慣が安全性を左右します。


主な食中毒菌と特徴・対策一覧

食中毒菌名主な原因食品特徴潜伏期間対策
サルモネラ菌卵、生肉、加熱不十分な鶏肉熱に弱く、卵殻や生肉表面に付着6〜72時間・卵は十分に加熱
・器具の使い分け
・交差汚染防止
カンピロバクター鶏肉(特に生焼け)少量でも発症しやすい1〜7日・鶏肉の中心温度75℃以上で1分以上加熱
・まな板・包丁の消毒
腸管出血性大腸菌(O157など)生肉、加熱不足のひき肉、野菜乳幼児・高齢者に重篤化2〜8日・75℃以上で1分加熱
・手洗いの徹底
・野菜の洗浄
黄色ブドウ球菌おにぎり、弁当、調理済み食品手指の傷口などから感染、耐熱性毒素を産生1〜6時間・手指の消毒・手袋の着用
・調理後は速やかに冷蔵
・傷がある場合は調理を避ける
ウェルシュ菌カレー、煮物、大量調理酸素が少ない環境で繁殖(嫌気性)6〜18時間・調理後はすぐ冷却
・大鍋料理の常温放置禁止
・再加熱の徹底
ノロウイルス(※ウイルス)牡蠣などの二枚貝、感染者の手非常に感染力が強く、冬場にも注意1〜2日・次亜塩素酸ナトリウム消毒
・感染者の調理禁止
・手袋と手洗いの徹底

飲食店での実践的な対策ポイント

  • 「加熱・冷却・保存」の基本を徹底
    • 食品中心温度75℃で1分以上加熱
    • 大量調理品は速やかに冷却・冷蔵
  • 手指の衛生
    • 調理ごと、トイレ後、食材を触る前に手洗い
    • 手袋の使い回し禁止
  • 調理器具の使い分け
    • 生肉・魚用と加熱後食品用で分ける
  • スタッフの健康管理
    • 下痢・嘔吐などの症状があるスタッフは調理から外す

HACCPの視点から考える食中毒対策

すべての食品関連事業者に義務づけられているHACCPでは、食中毒菌のリスクを工程ごとに分析し、危険な工程を継続的に記録・管理します。

記録の例:

  • 冷蔵庫温度の記録
  • 調理後の保管時間
  • 手洗い・器具消毒の確認チェック

HACCPは、日々の5Sや衛生チェックと連動し、事故の未然防止に非常に有効です。
🔗 詳細は HACCP導入の基本| をご覧ください。


梅雨〜夏に起きやすい食中毒事例10選【原因と対策まとめ】

おにぎりからの黄色ブドウ球菌感染

原因:傷口や不衛生な手で握った際に菌が繁殖

対策:手洗い・手袋着用・傷のある手での調理禁止

カレー常温放置でウェルシュ菌

原因:嫌気性菌が大鍋で増殖

対策:小分けで冷却・再加熱の徹底

鶏のたたきでカンピロバクター

原因:生焼け・表面加熱不足

対策:75℃以上で中心まで1分以上加熱

解凍魚介からリステリア菌

原因:解凍ドリップから菌が繁殖

対策:4℃以下で解凍・ドリップ即処理

ハンバーグでO157感染

原因:中心が生焼けで菌が残存

対策:中心温度75℃で1分以上加熱

生牡蠣でノロウイルス感染

原因:ウイルスを含んだ二枚貝の生食

対策:85~90℃で90秒以上加熱・手洗い徹底

洗っていない野菜で大腸菌

原因:土壌や水に含まれる菌が残留

対策:流水で丁寧に洗う・再洗浄を基本に

弁当の室温放置で細菌増殖

原因:高温多湿の中で菌が増殖

対策:保冷剤の使用・2時間以内に食す

アルコールだけの手指消毒ミス

原因:汚れた手にアルコールだけ使用

対策:石鹸手洗い後にアルコールを使う

氷からの交差汚染

原因:製氷機やトングが不衛生

対策:清掃・専用トング・定期洗浄


まとめ|「知らなかった」では済まされない時代に

食中毒菌への理解と対策は、お客様の命を預かる飲食業において不可欠です。「誰がやっても安全な仕組み化」が求められる今、5SやHACCPと組み合わせた衛生管理を実践し、安心・安全な店舗運営を目指しましょう。

関連記事:
👉 梅雨から夏の衛生管理チェックポイント(前編)
👉 厨房で実践できる温度・環境管理の工夫(後編)


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