はじめに｜「万が一」の備えが店を守る
いくら気をつけていても、食中毒は「ゼロにできる」とは言い切れません。重要なのは、発生した際の迅速かつ的確な対応と、再発防止のための見直しです。本記事では、食中毒が疑われる場合の初動対応から、保健所とのやりとり、再発防止のための教育・記録・設備面の整備までを解説します。
目次
1. 食中毒が疑われたときの初動対応
- 症状を訴えたお客様の体調確認と聞き取り
- 直近で提供した料理・食材・スタッフの記録を確認
- 調理に関わったスタッフの体調・作業履歴を調査
- 保健所への速やかな報告（発症が複数人・集団の場合は特に早急に）
2. 保健所の調査対応と記録提出
- 料理提供の履歴（メニュー、食材、ロットNo.）の提出
- 仕入れ伝票、保存食サンプル、冷蔵庫の温度記録などを準備
- スタッフの勤務記録・衛生教育実施履歴の提示
- 今後の改善指導内容を元に、是正報告書の作成
食材のトレースとは？
「食材のトレース」とは、仕入れ先からお客様へ提供するまでの全工程を記録・管理し、 何が、いつ、どこから届き、どの調理工程を経て提供されたかをあとから追跡できる仕組みです。
▶︎万が一異変が起きた際にも、対象のロットを素早く特定し、迅速な回収や保健所対応が可能になります。
3. 再発防止のための対策
- HACCPに基づいた衛生管理マニュアルの見直し
- 新人・アルバイトへの教育再強化（eラーニングや動画も有効）
- 温度記録・清掃記録・体調チェック記録の様式整備とデジタル化
- 厨房レイアウトの見直し（交差汚染を防げる動線・設備）
【Q&A】発生時の対応についてよくある質問
Q1. 保健所に連絡しないとどうなる？
A. 報告義務違反に該当し、行政指導や営業停止処分の対象になる可能性があります。
Q2. 食中毒の原因が不明な場合でも謝罪すべき？
A. 誠意を示す姿勢は重要ですが、保健所の調査結果を待ってからの対応が原則です。
Q3. どこまで公表する必要がある？
A. 保健所が公表を判断する場合がありますが、自主的な情報発信は慎重に。風評被害を防ぐため、正確な情報管理が重要です。
まとめ｜日頃の準備が最善のリスクマネジメント
「うちは出さない」ではなく、「出たらこう動く」までが衛生管理。事故発生時の行動フローや記録体制は、店舗の信頼を守る生命線です。改めてスタッフ全員で共有し、万全の備えを整えましょう。