はじめに
飲食店経営において「原価率」は必ずチェックすべき重要指標のひとつです。
一般的には「原価率は30%以下が理想」と言われますが、単純に低ければ低いほど良いわけではありません。
原価を下げすぎることで料理の魅力や顧客満足度を損ねれば、結果的に売上やリピート率が落ち、利益も減ってしまう可能性があります。
この記事では、原価率を下げすぎるリスクと、原価率が高くても利益を出せる価格戦略について深掘りします。
原価率とは?
原価率は、売上に占める食材原価の割合を示す数値です。
計算式は以下の通りです。
例えば、原価300円の料理を1,000円で販売する場合、
原価率 = 300 ÷ 1,000 × 100 = 30%となります。
簡易 原価率計算ツール
原価率を下げすぎるリスク
原価率を下げすぎるリスク
“安く作る”だけでは利益は守れません。価値を毀損しないバランス設計が重要です。
料理の質が落ちる
安価な食材への置き換えが過度になると、味・香り・見た目が劣化。
一時的にコストが下がっても、体験価値の低下で客離れを招きます。
リピート率の低下
「値段の割に魅力がない」と感じられると再訪は伸びません。
原価だけでなく、提供スピード・盛付け・ボリューム感の“総合価値”が鍵です。
ブランドイメージの毀損
低原価の料理ばかりを打ち出すと、「安っぽい店」という印象が定着。
客単価の上限が下がり、長期的な価格改定も難しくなります。
- 料理の質が落ちる
安価な食材に置き換えすぎると味や見た目が劣化し、顧客満足度が低下します。 - リピート率の低下
「値段の割に魅力がない」と感じたお客様は再訪しづらくなります。 - ブランドイメージの毀損
低原価の料理ばかりでは「安っぽい店」という印象が定着する危険があります。
高原価率でも利益を出す考え方
実は、原価率が高くても利益を確保する方法はあります。
重要なのは「高原価を武器にする」ことです。
1. バリュー感を前面に出す
- 鮮度抜群の魚介や希少部位の肉など「お客様が価値を実感できる食材」を使用
- メニュー名や説明文で産地やこだわりを訴求
2. 看板商品のみ高原価にする
- 原価率40%超でも集客力のある「目玉商品」を用意
- 他のメニューで原価率を抑えて全体のバランスを取る
3. セットやコースで平均原価率を調整
- 高原価料理を含めつつ、前菜やデザートで原価を低く抑える
- 結果的に「満足度の高いコース」かつ「利益の取れる構成」に
価格戦略のポイント
- 原価ベースではなく価値ベースで価格を決める
「この料理はいくらならお客様が納得して払うか」を軸に売価設定する。 - 競合比較ではなく自店の強みを活かす
他店より安くするのではなく、自店ならではの付加価値を提供。 - 心理的価格設定を活用
1,000円ではなく980円、5,000円ではなく4,980円など心理的効果を利用する。
まとめ
- 原価率は低ければ良いというわけではない。
- 下げすぎると料理の魅力やブランド力を損なうリスクがある。
- 高原価でも「価値を感じさせる」ことができれば、十分利益を確保できる。
- 価格は原価ではなく「お客様が感じる価値」で設定することが重要。