はじめに
飲食店経営で売上を安定させるカギは、「新規客の獲得」と「リピーターの定着」のバランスです。
新規集客だけに頼ると広告費がかさみ、リピーターばかりに頼ると新陳代謝が止まります。
本記事では、リピーター率と新規比率の計算方法、客層分析のポイント、そして改善策までを深掘りします。
リピーター率・新規比率の定義
リピーター率
一定期間内に過去に来店したことのある顧客が再来店した割合。
リピーター率(%)= リピーター数 ÷ 全来店客数 × 100
新規比率
一定期間内に初めて来店した顧客の割合。
新規比率(%)= 新規客数 ÷ 全来店客数 × 100
※ どちらも合わせると100%になります。
リピーター率・新規比率 診断ツール
結果がここに表示されます
※ 目安:リピーター率60〜80%はバランス良好。
なぜこの2つの比率が重要なのか?
- 新規客は売上を伸ばす原動力。店舗の存在を知ってもらうきっかけ作りになる。
- リピーターは安定収益の柱。広告費ゼロで来店してくれるため利益率が高い。
成功している飲食店の多くは、
- 新規比率 20〜40%
- リピーター率 60〜80%
のバランスを保っています。
再来店率の計算例
ある月の来店データ:
- 新規客数:300人
- リピーター数:700人
- 全来店客数:1,000人
リピーター率=700 ÷ 1,000 × 100 = 70%
新規比率=300 ÷ 1,000 × 100 = 30%
この店舗は安定した常連比率を持ちながら、新規も一定数確保できている理想的な形です。
客層分析の方法
- POSレジ・予約台帳で履歴を管理
来店回数や来店間隔を記録する。 - 顧客属性(年齢層・居住地・来店時間帯)を把握
ターゲット層を明確化。 - 新規獲得経路を分析
クーポン、SNS、紹介、通りがかりなど流入経路を確認。 - 離脱顧客の傾向をチェック
来店が途絶えた顧客の特徴を把握し改善に活かす。
改善策|新規客・リピーター双方を伸ばす方法
新規客を増やす
- SNSで店舗の魅力を定期発信
- 地域限定クーポン配布
- コラボイベントや期間限定メニューの導入
リピーターを増やす
- 来店時の接客クオリティの安定化
- メンバーズカードやアプリでポイント付与
- 季節ごとの限定メニューで飽きさせない
- 記念日・誕生日特典で来店動機を作る
この記事のまとめ(詳しい説明+アドバイス)
数字で“常連がつく店”をつくるために押さえるべき要点と、すぐ試せる改善策を凝縮しました。
基本
リピーター率と新規比率は、店舗の健康状態を示す重要な数字
新規だけでも、常連だけでも不安定。両者の比率で「集客力」と「定着力」を同時に可視化できます。
ポイント
まずは月次で「全来店客数・新規数・再来店数」を固定フォーマットで集計。前月比と前年同月比の2軸で見る。
アドバイス
POSや予約台帳の“顧客ID”を活用。IDが無い場合は会計時に「新規/再来」チェック欄を運用し、最低限の分類から開始。
目安
バランスの目安は 新規20〜40%、リピーター60〜80%
理想レンジを外れると、広告依存(新規過多)か、頭打ち(再来過多)になりやすい。季節要因も加味して判断を。
ポイント
月だけでなく四半期平均で偏りを確認。繁忙・閑散の差が大きい業態は平均化指標を併用。
アドバイス
新規が20%未満→露出増(UGC/SNS/紹介導線)。新規が40%超→来店直後の会員化・次回来店特典で再来を強化。
データ活用
客層分析はPOS・予約台帳・アンケートの活用がカギ
「誰が・いつ・何を・いくらで」を蓄積し、来店間隔や好みを把握。打ち手の精度が一気に上がります。
ポイント
最低限の属性(年齢帯・性別・来店時間帯・居住地)+来店回数を記録。キャンペーンは“コード”で流入源を識別。
アドバイス
月次で「上位常連10%の来店頻度」「離脱(最後の来店から◯日超)客」を抽出し、DMや再来特典をピンポイント配信。
実行
新規とリピーター、両輪の改善策を継続すれば安定経営へ
新規獲得(上流)→初回体験設計→会員化→再来動機づくり…と、顧客旅路を面で設計。点の施策から卒業しましょう。
ポイント
初回来店から72時間以内の“次回来店提案”が効きます。例:次回ドリンク無料、来月限定メニュー案内。
アドバイス
再来未発生の新規へは14日・30日リマインド。常連には来店間隔が空いたタイミングで個別メッセージ(記念日・好み連動)。
まとめ
- リピーター率と新規比率は、店舗の健康状態を示す重要な数字
- バランスの目安は 新規20〜40%、リピーター60〜80%
- 客層分析はPOS・予約台帳・顧客アンケートなどのデータ活用がカギ
- 新規とリピーター、両輪の改善策を継続することで安定した経営が可能になる
次にやることチェックリスト
“今日から動かせる”小さな一歩を積み上げましょう。完了したらチェックを入れて、週次で振り返りを。
データ整備
計測の土台を作る
最低限の項目だけでも「毎月」同じフォーマットで。
新規獲得
露出と“来店きっかけ”を作る
20〜40%を目安に月次で調整。
再来促進
“次回来店の理由”を明確に
初回来店から72時間が勝負どころ。
運用・振り返り
数字で“続ける仕組み”
前月比+前年同月比の2軸で評価。