飲食がこれからも必要とされ、愛される業界であるために    時代のニーズに対応する店舗、商品・メニュー開発、オペレーション作りで顧客満足度・利益向上をサポートいたします

はじめに

飲食業界では「味がよければ繁盛する」という時代は終わりつつあります。現在は、**お客様が“どんな体験を得られるか”という視点=ブランド体験(ブランディング)**が店舗の成長に大きく影響します。
しかし、個人店とチェーン店ではブランディングの設計思想も戦略も異なります。この記事では、業態別の一般的な特徴と、それぞれに合ったブランディングの考え方について整理し、個人店や中規模多店舗展開を目指す方が、自分に合ったブランド構築をできるようになるヒントをご紹介します。


1|店舗形態による分類とブランディングの立ち位置

店舗形態一般的な定義店舗数の目安ブランディングの特性
個人店個人経営、1〜2店舗~2店舗オーナーや地域との結びつきが強い。感情・共感重視
中規模チェーン店同ブランドを複数展開3〜20店舗程度オペレーションの安定と店舗ごとの柔軟性のバランス
大型チェーン店全国・広域にFCまたは直営展開20店舗以上一貫性と効率を最重視したマスブランディング

それぞれの立ち位置を理解することで、自社に最適な「ブランド設計の軸」が見えてきます。


2|個人店のブランディング:共感と人間味が最大の武器

個人店の強みは、「人」が見えることです。オーナーやスタッフの思い・接客スタイル・空間設計などすべてがブランドストーリーになります。

  • 例:「〇〇さんが作る料理だから通っている」
  • 「あのお店の空気感が落ち着く」

このように、人の魅力や感情に訴えるブランドこそが個人店の最大の財産です。逆に、サービスの標準化や店舗ごとの品質の均一化は難しい面もあるため、「あなたらしさ」を核に据えた設計が重要になります。


3|中規模チェーン店のブランディング:一貫性と地域適応の両立

3〜20店舗前後の中規模展開では、以下のようなジレンマが起こりがちです。

  • 各店舗で雰囲気がバラバラになってしまう
  • オーナーの思いが伝わりにくくなってくる
  • 統一感を持たせると、自由度が損なわれる

この段階では、「ブランドの中核となる考え方=ブランドバリュー」だけは明確にし、あとは各店舗に任せるという“ゆるやかな統一”が効果的です。
また、地域性やスタッフの個性を活かすための「可変ルール」設計も、中規模ならではのブランディング戦略です。


4|大型チェーンのブランディング:標準化とスピード戦略

全国展開を見据えた大型チェーンでは、以下が最重要となります。

  • ロゴ・内装・メニュー・接客フレーズの統一
  • どこで食べても同じ味・同じ体験ができる安心感
  • コスト管理とマーケティングの効率化

つまり、感性よりも「再現性と均質性」を重視します。CM・デジタル広告なども駆使して、「どこにでもあるのに印象に残るブランド」を築く必要があります。
ただしその分、現場の裁量が小さくなり、顧客との心理的距離はやや遠くなりやすいという弱点もあります。


5|比較:3タイプの強みと弱み

項目個人店中規模チェーン大型チェーン
強み親近感・共感・物語性柔軟性と統一感の両立スピード・信頼・大衆的浸透力
弱み拡張性・継続性が課題ルール整備に時間がかかる感情的つながりが薄くなりがち
主な軸ストーリー・世界観中核価値と個別最適の両立再現性と認知の最大化

6|ブランディング設計の3ステップ

  1. ブランドの“中核”を定める(WHY:なぜやるか)
     例:「お客様の人生の節目を彩る料理を届けたい」など
  2. 体験の形を決める(HOW:どう届けるか)
     例:料理、接客、内装、メニュー、SNSでの伝え方
  3. 伝える手段を選ぶ(WHAT:何を使って広めるか)
     例:店名、ロゴ、看板、Instagram、口コミなど

このフレームはどの業態でも応用できます。


7|ターゲット顧客との関係性をどう築くか

ブランディングとは**「どんなお客様に、どう思われたいか」を設計すること**です。

  • 個人店なら「人の温もりを感じたい人」に向けたストーリー重視
  • 中規模なら「安心感と柔軟さのバランス」を求める客層に
  • 大型チェーンなら「スピーディーで安定した体験」を求める層に

自店の顧客属性と理想の体験像を明確にすることが出発点です。


8|個人店でもできるブランディングの工夫5選

① オーナーの顔や想いを発信

工夫:店内ポップやSNSでオーナー自身の想い、創業ストーリー、日々のつぶやきを発信。

効果:共感が生まれ、ブランドのファン化につながる。リピーター増加の要因にも。

共感されやすいお客様:地元志向・共感型・ストーリーに価値を感じる方々

② 店舗の雰囲気と一致するBGM・器・照明

工夫:内装と一体感のあるBGMや器・照明を選定し、ブランド世界観を統一。

効果:五感に残る印象が強まり、Instagramや口コミで拡散されやすい。

共感されやすいお客様:感性重視・空間体験を大切にする若年層や女性客

③ 接客フレーズを“らしさ”で統一

工夫:「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」など、独自の言い回しをルール化。

効果:接客の印象が強く残り、サービスの一貫性と記憶への定着が高まる。

共感されやすいお客様:丁寧な接客を重視する方や、初来店で不安を感じやすい方

④ 看板メニューやストーリーのネーミング

工夫:代表メニューに物語性を持たせ、名前にも世界観や想いを反映。

効果:メニューに愛着が生まれ、SNSや口コミでの拡散時にも記憶されやすい。

共感されやすいお客様:ストーリーに惹かれる方・ネーミングセンスに敏感な層

⑤ 地域や常連との交流イベント

工夫:周年感謝祭、季節の限定サービスなど、地域密着型イベントを定期開催。

効果:顧客との距離が縮まり、地域コミュニティとの繋がりが深まる。

共感されやすいお客様:地元に根差した関係を大切にしたい方、家族連れ

効果が期待できるポイント

視覚的な印象は第一印象を左右します。外観が特徴的であることで「覚えてもらいやすくなり」、SNSでの写真投稿による拡散も期待できます。

【事例】
例:古民家をリノベーションしたカフェが「外観で気になって入店した」という来店動機を多数獲得。

オリジナルな名前を付けることで話題性が生まれ、顧客の記憶に残りやすくなります。また、検索性やSNS投稿時のタグ効果も期待できます。

【事例】
例:「ねこの手カフェラテ」などユニークな名前でInstagramに多数投稿され話題に。

スタッフ全員の接客トーンや用語を統一することで、ブランドイメージに一貫性が生まれ、安心感やプロフェッショナルさを感じさせられます。

【事例】
例:丁寧語だけでなく「いらっしゃいませ!」の声出しのトーンまでマニュアル化し、常連客の定着率向上。

季節の装飾や限定メニューで来店動機を高め、繰り返し訪れてもらえるきっかけを作れます。地元とのつながりも演出できます。

【事例】
例:春には桜の装飾と桜餅スイーツを提供し、Instagramで「季節感が楽しい店」として紹介される。

創業理由や料理への想いを店内ポップやSNSで伝えることで、共感や応援したくなる心理が働き、ファン化につながります。

【事例】
例:壁に貼った「はじめた理由」の手書きメッセージが話題となり、共感を呼んで拡散。

これらは規模に関係なく、「記憶に残る店づくり」につながります。


まとめ|スケールではなく「らしさ」が鍵になる

個人店・中規模・大型チェーン。それぞれの形にあったブランディングがあり、優劣ではなく設計思想の違いです。大切なのは、自店にとっての**“らしさ”を軸にした一貫性**。
どんなに小さくても、「このお店にはこの空気がある」と感じてもらえれば、それがブランドの証明です。今いる場所から、自分たちらしいブランドを積み重ねていきましょう。


>食と空間の創造 ーその未来へー

食と空間の創造 ーその未来へー

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