はじめに|いま、なぜFLコスト最適化が必要か?
飲食業界では、原材料価格の高騰や人件費の上昇が続いています。これまでの感覚的な価格設定や、「なんとなく人気があるから残している」メニュー構成では、利益を確保するのが難しくなっています。
この記事では、以下の悩みを抱える経営者・店長向けに、FLコストの最適化と実践的な見直し手法を解説します。
- 食材原価が上がって利益が出ない
- 人件費が売上に対して高すぎる
- メニューが多すぎて管理が煩雑
- ロスが多く、仕込みが無駄になる
目次
FLコストとは?|数字が利益を決める基本指標
FLコストは「Food(食材原価)+Labor(人件費)」の合計を売上高で割ったもの。
項目 | 内容 | 理想的な目安 |
---|---|---|
Food | 食材費・仕入れコスト | 25〜35% |
Labor | 時給・固定給・社会保険など | 25〜30% |
FLコスト合計 | Food + Labor | 50〜60%以下 |
FL比率が高すぎると、いくら売っても利益が出ません。
💡参考記事:
商品別FL比率の分析方法|感覚ではなく「数字」で判断する
1. メニューごとの原価・販売数を出す
売れ筋メニューと死に筋を把握しましょう。以下の表を作成すると効果的です。
商品名 | 原価(円) | 販売価格(円) | FL比率(%) | 販売数/月 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
A定食 | 350 | 1,100 | 31.8% | 180 | 利益率良好 |
B丼 | 480 | 1,000 | 48.0% | 90 | 利益率が低い |
Cサラダ | 150 | 700 | 21.4% | 220 | 客単価アップ用 |
ポイント:
- 高FL比率 × 販売数が少ない商品 → メニュー見直し候補
- 原価率が低くても、回転が悪い商品は利益に貢献していない可能性あり
✔あわせて読みたい:
メニューのリストラクチャリング|「減らす」「強化する」見直し術
減らす:利益に貢献しない商品は撤去・統合
- FL比率が悪いのにオーダーが少ない商品
- 似た商品が複数ある場合は一本化
強化する:利益率が高く人気のある商品を目立たせる
- 客単価を上げやすい「セットメニュー」
- 原価率が安定している「冷凍や常温保存可能食材」を活用
✔関連記事:
食材ロス削減とオペレーション効率化
1. 仕入れと在庫管理を見直す
- 在庫ロスが多い食材を特定
- 日々の発注は「前日売上ベース+α」で調整
2. 仕込み量の適正化
- 「いつも余る」が続く場合は量を半分にして様子を見る
- 冷凍保存やセミプレップ(半調理)活用も効果的
3. 調理工程のシンプル化
- 「時間がかかる」「人によって差が出る」工程は見直し
- 食材の共通化でオペレーションを効率化
やってはいけないNG例
NGパターン | なぜダメ? |
---|---|
人気がないメニューを残す | 回転しないと在庫ロスが増え、廃棄コストが増える |
売れ筋でもFL比率が悪い商品を放置 | 数が出る=利益貢献ではない |
「なんとなく値上げしない」 | 原価が上がっているのに価格を据え置くと利益が圧迫される |
Q&Aコーナー|よくある疑問に答えます
A. 一時的にはOKでも、継続的に高いと利益が出ません。人件費や設備投資を回収できる水準まで抑えるのが理想です。
A. その他に「営業利益率」「席回転率」「客単価」「人時売上」なども重要です。
A. 値上げは「セット提案」や「サイズ選択制」にすることで心理的負担を減らせます。
A. 業務の標準化、ピークシフトの導入、セルフ注文やセルフレジの活用などで効率化が図れます。
A. 定食は原価率が高くなる傾向はありますが、セット販売による客単価アップや調理効率の面で有利です。
まとめ|FLコスト最適化は継続的な“経営力”
- FL比率を把握することが利益改善の第一歩
- 数字でメニューを分析し、構成をシンプルに
- ロス削減・効率化を並行して取り組む
コスト最適化は一度で終わるものではなく、定期的に見直す「仕組み化」がカギです。