はじめに
飲食店の経営は「感覚」では成り立ちません。
数字に基づいた経営判断ができるかどうかが、成功と失敗を分けるポイントです。
本記事では、飲食店経営に必要な「売上」「原価」「利益」などの基本的な数字の見方と、日々の管理方法をわかりやすく解説します。
目次
飲食店経営に欠かせない「3つの数字」
指標 | 内容 | 目安(例) |
---|---|---|
売上 | 1日の会計合計 | ¥80,000/日(ランチ+ディナー) |
原価 | 材料費・仕入れ費用 | 売上の25〜35%が理想 |
利益 | 売上 −(原価+経費) | 10%以上の黒字が目標 |
売上を分解して見る
売上=「客数」×「客単価」
客数を上げるには:
- 新規集客施策(SNS・チラシなど)
- リピーター施策(前回記事参照)
客単価を上げるには:
- セットメニュー・ドリンクの提案
- 単価の見直しと価格戦略
客単価は500円変わるだけで、月商が数十万円変わることも。
原価率をコントロールする方法
食材原価率=(原価 ÷ 売上)×100
食材 | 原価率例 | コメント |
---|---|---|
ラーメン | 約30% | スープや麺原価が高い |
パスタ | 約25% | 比較的原価は抑えやすい |
居酒屋系 | 35%前後 | 食材数が多いと原価管理が複雑 |
原価を下げるには?
- 食材ロスを減らす(仕込み量の適正化)
- メニュー構成の見直し(利益率の高い料理を増やす)
- 仕入れの見直し(まとめ買い・業者変更)
利益を守るために把握すべき経費
経費項目 | 内容 | 削減ポイント例 |
---|---|---|
人件費 | スタッフ給与・交通費 | シフト最適化、予約管理の精度UP |
家賃 | 店舗賃貸料 | 固定費。売上との比率確認を |
水道光熱費 | ガス・電気・水道代 | 定期見直しと機器のメンテ |
宣伝広告費 | チラシ・SNS広告など | 成果が出る媒体を絞る |
雑費 | 消耗品・クリーニング代など | 月別推移を可視化する |
利益=売上−(原価+経費)。利益が出てこそ、店は続きます。
“数字の見える化”を習慣にするには?
おすすめの方法:
- エクセル・スプレッドシートで日々の売上記録
- 原価・利益率をメニューごとに管理
- 会計アプリ(freee、マネーフォワードなど)の活用
- POSレジで客数・客単価を自動記録
「月次振り返り」を経営に組み込む
毎月1回、以下をチェックする習慣を作りましょう。
チェック項目 | ポイント |
---|---|
月商 | 目標に届いているか?客数・単価の変動は? |
原価率 | 理想値(25〜35%)を超えていないか? |
利益率 | 黒字か?経費は膨らんでいないか? |
売れ筋 | 人気メニューはどれか?逆に動かないメニューは? |
まとめ|数字がわかると飲食店経営は怖くない
数字の管理は、最初は面倒に感じるかもしれません。
ですが、数字を“味方”につけることで、経営判断に迷わなくなり、利益を守ることができるようになります。
感覚と経験に「数字」という根拠が加わると、飲食店経営は一気に安定してきます。
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