はじめに
飲食店の開業を目指す皆さんへ。本連載もいよいよ最終回となりました。最終回のテーマは、開業後の「経営者」として必要な“覚悟”と“視点”について。これまで準備してきたことのすべては、「経営を続けていく」という次のフェーズのスタートにすぎません。
経営者としての心構えを見直し、飲食店経営を継続・成長させていくために必要な「経営視点」についてまとめます。
お客様第一主義だけでは、店は長く続かない。
「いい人」ではなく「いい経営者」になるために。
なぜ「お客様第一」だけでは不十分なのか?
確かに、飲食店はサービス業。「お客様の満足」は最優先事項です。
しかし、現場に立ち続けるうちに、こんな経験はありませんか?
- 原価度外視のサービスで赤字
- クレーム対応でスタッフが疲弊
- 利益が残らない月が続く
➤これらはすべて、「経営の視点」が不足していることから起こります。
覚悟が必要な理由|「開業=ゴール」ではない
開業は「スタートライン」にすぎません。最初の売上が出た瞬間から、毎月の資金繰り・人材の育成・メニュー開発・衛生管理・集客など、複数の役割を同時に担う必要があります。
その現実を「想定外」ではなく、「当然」と受け止めることができるかどうかが、経営者としての覚悟の深さです。
飲食店経営で陥りやすい失敗例と考え方
失敗例 | 陥りやすい考え方 | 改善ポイント |
---|---|---|
お客様の声にすべて応える | 「要望には全部応えないと…」 | 優先順位と“線引き”が必要 |
メニューを増やしすぎる | 「飽きられたくない…」 | 在庫管理・オペレーション悪化に注意 |
値上げに踏み切れない | 「常連さんが離れたら…」 | 利益がなければ続けられない |
経営とは「取捨選択」。
すべての期待に応えることは、””結果として誰も満足させない”可能性があります。
経営視点とは|プレイヤーからマネージャーへの転換
料理が得意、人と話すのが好き——それだけでは続きません。経営視点とは、利益率を把握し、人件費・原価率・稼働率を意識しながら「仕組み」で店を回す力。
経営者自身が現場に立ち続けるのではなく、店が自走する仕組みを少しずつ作ることが、長く続ける鍵です。
経営者の視点を持つための3つのポイント
① 数字に強くなる
売上、原価率、人件費、利益率…日々の数字にこそ「経営のヒント」があります。
毎月の損益を“把握するだけ”ではなく、“改善できる”力をつけましょう。
② 現場に入りすぎない
現場主義も大切ですが、店の未来を考える時間がなければ経営判断は鈍ります。
1週間に数時間でも「経営だけに集中する時間」を持つ習慣を。
③ 孤独を受け入れる
経営者は最終決断を一人で下す立場です。
時にスタッフやお客様と対立することもあります。それでも「何のための判断か」を見失わないことが大切です。
長く愛される店に共通する“経営の芯”
- メニューの“主軸”がブレない
- 価格の根拠と価値が明確
- スタッフが「お客様の前に、まず店に愛着を持っている」
- 地域との関係性を育んでいる
- 新しいことにも“タイミングを見て挑戦”している
成功している店は、“変わらない想い”と“変化への対応力”を両立しています。
よくある質問
+ 飲食店開業後、どれくらいで黒字化できますか?
+ 経営初心者でもやっていけますか?
+ 開業後の人材確保はどうするべき?
+ 経営者が疲弊しないための工夫は?
+ 長く続けていくには何が一番大切?
【まとめ】経営者としての第一歩は“自分の軸”を持つこと
飲食店経営は、楽しいだけでは済まない世界。
それでも、自分の考えや想いに基づいて「お客様に必要とされる場」をつくることは、何にも代えがたい喜びがあります。
最後に
経営とは“日々の積み重ね”。誰もが最初は初心者ですが、ブレずに学び続ける姿勢が飲食店経営を支えます。これまで20回にわたりご覧いただきありがとうございました。今後もアップデート情報や事例を発信してまいります。
📢 今後のご案内|次のシリーズに進みましょう!
【次シリーズ予告】
「飲食店 成功への運営強化シリーズ」スタート!
開業を乗り越えた今、次は“経営実務”を磨くとき。
➤ 第1回:売上を伸ばす「数字に強い店長」になる方法
※現在準備中です。公開までしばらくお待ちください。