はじめに
現場での教育がうまくいかない、スタッフが育たない…そんな悩みを抱える飲食店は少なくありません。 飲食店における育成の多くは、実務の中で行われる「OJT（On-the-Job Training）」が中心です。 この記事では、OJTの基本から成功する導入法、役職ごとの教育の工夫まで、現場にすぐ活かせる育成術をまとめてご紹介します。
目次
1. OJTとは？飲食業界における定義と役割
OJTはなぜ重要か
OJT（オージェーティー｜On-the-Job Training）とは、現場で実際の業務を通じてスタッフを育成する手法です。飲食店においては、スピード感ある実務教育が特に重要です。
店舗の現場で接客や調理などを行いながら、直接教えるスタイルが主流です。
主な特徴
- 即実践 → 習得スピードが早い
- 店舗の価値観・文化も一緒に伝えやすい
- コミュニケーション力やチーム連携も養える
2. 飲食店OJTのメリット・デメリット
OJTのメリット
- 現場で即実践できるスキルが身につく（即戦力化）
- 教育者との信頼関係が築きやすい
- 現場での判断力・臨機応変力が養われる
OJTのデメリット
- 教育内容が属人化しやすくバラつきが出る
- 忙しさにより後回しになりがち
- 指導者のスキルや熱意に大きく左右される
3. 成果を高めるOJT設計のコツ
💡 5つのポイント
- 育成のゴールと基準を明確にする
- 担当指導者の役割分担（料理長・リーダー）を決める
- 教える側のスキルアップも含めて設計
- 育成の進行を記録・見える化
- 週次の振り返り・フィードバックタイムを設ける
Step1：目標設定
習得させたいスキル・ゴールを具体化します（例：注文受付を独り立ち）。
Step2：指導計画
期間・内容・担当者を明確にし、育成テンプレートを活用します。
Step3：評価とフィードバック
チェックリストで進捗を確認し、こまめに声掛け・振り返りを行います。
OJTチェックリスト（新人用）例
- 挨拶・身だしなみの確認
- 注文の受け方のロールプレイ
- 提供ルールの確認（順番・声掛け）
- 会計時の一連対応チェック
- ミス時の対応と報告練習
4. 【役職別】OJT実践ポイント
料理長からの一言：
教える側にもOJTの型が必要。OJTは”現場の仕組み”として整えることが大事です！
👨🍳 料理長
- 技術だけでなく「店の味」を伝える教育者
- 評価・育成チェックリストを活用
👨🔧 リーダー・中堅スタッフ
- 現場でのフォロー・困りごとの初期対応
- 「共感力」と「説明力」が鍵
🧑🍳 新人スタッフ
- ステップ形式（見学→補助→本番）で段階的に育成
- 小さな成功体験を積み重ねるサポートが大切
5. 成果を上げるテンプレート活用｜5W1H指導フォーマット
OJTにばらつきを出さないためには、5W1H（いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どのように）を使った対応基準が有効です。
- 接客・調理・クレーム対応などすべてに5W1Hフォーマットを導入
- チェックリスト形式で定着を確認
OJTに活かす5W1Hテンプレート
| 項目 | 問い | 具体例 |
|---|---|---|
| Why | なぜ必要か？ | この手順を守ることで事故防止になる |
| What | 何を教えるか？ | 食器の下げ方・声かけマナー |
| When | いつ教えるか？ | 初出勤の2日目 |
| Where | どこで教えるか？ | ホール業務中にその都度 |
| Who | 誰が教えるか？ | サブリーダー担当 |
| How | どう教えるか？ | ロールプレイ＋フィードバック |
6. よくある失敗と対策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 教える時間がない | 教育が営業後になり疲弊 | 営業中に組み込んだ育成設計 |
| 指導が属人的 | 教える人により差が出る | 統一されたマニュアルとチェック表の活用 |
| 振り返りがない | 教えて終わり | 週1回のミーティングと成長確認 |
7. OJTの成果を可視化する方法
- OJTダッシュボードの活用
- Googleスプレッドシートやホワイトボードで進捗を「見える化」
- 月次の育成タイムライン表示
- 成長の過程を一覧表示 → 振り返りや共有に有効
- スタッフ別 成長マップ作成
- 習得済スキルと課題を一覧管理
8. まとめ：OJTを文化にするために
- 教えることを仕組みに変える
- 店舗全体で育成に関わる空気をつくる
- 育てた人が、次の新人を育てる循環を目指す