はじめに|夏は「売れる」か「沈む」かの分かれ道
夏はイベントや行楽需要が高まる一方で、猛暑による外出控えや冷房コストの増加など、飲食店にとっては売上が上下しやすい季節です。
この記事では、夏の売上UPに直結する施策と、**ありがちな失敗パターン(落とし穴)**をセットで解説します。
1. 夏限定メニューで“涼”と“特別感”を演出
夏限定メニューで“涼”と“特別感”を演出
冷たい麺や期間限定ドリンクなど、夏だからこその商品で集客力アップ!
🎯 集客施策:
- 季節食材(うなぎ、そうめん、とうもろこし、すだちなど)を使った期間限定メニュー
- 冷たい麺、冷製スープ、かき氷、クラフトドリンク など
⚠️ 落とし穴:
- 季節メニューの準備・仕入れが遅れ、タイミングを逃す
- 調理負担が増え、現場が回らない
⚠️「季節感」ばかりを重視して失敗することも!
見た目の演出や“夏っぽさ”ばかりに意識がいき、食材ロスや調理負担が増えてしまうケースも。販売計画とオペレーションを事前に検討しましょう。
事例①:冷製メニューが冷たすぎて不評
ガチガチに冷えたパスタを提供してしまい、「風味が感じられない」「体が冷える」とクレームが発生。適温・食感の調整が必要でした。
事例②:限定メニューの調理に時間がかかる
通常メニューより手間がかかるため、提供が遅れ、ピークタイムに回転率が落ちる結果に。作業分担と仕込みの見直しが重要でした。
事例③:季節感を狙った食材が在庫ロスに
短期間しか使わない季節食材を大量発注した結果、売れ残って廃棄に。販売予測と適正仕入れのバランスがポイントです。
⚠️ 価格を下げすぎて利益が出ない
集客を意識するあまり値下げしすぎると、利益が残らず運営が苦しくなります。利益率の確認を忘れずに!
2. 夏祭り・花火大会と連動したキャンペーン
地域イベントと連動したキャンペーン
浴衣割やハッシュタグ投稿で拡散を狙おう。
🎯 集客施策:
- 地域のイベントに合わせた「浴衣割」「屋台風メニュー」
- SNSでのハッシュタグ投稿キャンペーンで拡散
⚠️ 落とし穴:
- イベント当日だけの集客に終わり、リピーターにつながらない
⚠️混雑時キャンペーンの「裏目」に注意
イベント需要に乗じた販促は効果的ですが、オペレーションの負担増・食材不足・提供遅延など「現場の混乱」を招くリスクも。事前準備と提供体制の見直しが必須です。
事例①:来客が想定の2倍に!食材が足りない
花火大会当日の集客が予想以上で、途中で人気メニューが品切れに。事前に“売れ筋予測”と“代替メニュー”を用意しておけば回避できた。
事例②:提供が遅れクレームが発生
祭り連動キャンペーンで注文が集中。調理スタッフが回らず、15分以上の待ち時間に。ピーク対策と限定メニューの絞り込みが必要でした。
事例③:値引きしすぎて利益が残らない
集客目的で大幅値引きを実施。確かに集客は増えたが、利益がほとんど出ず赤字に。キャンペーンは「目的」と「収支バランス」が重要です。
3. テイクアウト・デリバリー強化で“暑くても食べたい”ニーズに応える
🎯 集客施策:
- 冷たくても美味しい持ち帰り商品を用意(冷製パスタ、サラダ丼など)
- アイス・ドリンクセットなど「+α」の提案
⚠️ 落とし穴:
- 配達・テイクアウト時の温度管理や品質低下でクレームにつながる
⚠️ テイクアウト対応の「落とし穴」に注意
暑さ対策にテイクアウトやデリバリーを強化しても、衛生管理・品質保持・提供スピードが伴わないと、クレームやリピート離脱の原因に。見落としがちなリスクを事前にチェックしましょう。
事例①:炎天下に置かれて傷んだ料理がクレームに
デリバリー後、玄関前に20分以上放置された結果、食材が劣化。冷蔵必須の料理には注意書きを添える、保冷対応するなどの対策が必要。
事例②:容器の耐熱性不足で見た目が崩れた
熱々の料理を安価な容器に入れた結果、変形しスープが漏れた。料理の温度に応じて容器の素材を再検討すべきだった。
事例③:混雑時に対応しきれず配達遅延
ランチタイムのピーク時にデリバリーが集中し、予定より30分以上の遅配。対応エリアと注文受付数の上限設定が必要だった。
4. 店内環境の“快適さ”を発信して来店ハードルを下げる
🎯 集客施策:
- 「エアコン強化中」「涼しい席ございます」などのポスターやSNS投稿
- 店内での冷たいおしぼり、ミストファンの導入など体感価値を上げる工夫
⚠️ 落とし穴:
- エアコンの効きが悪い、換気不足などが逆効果になることも
⚠️ 店内の快適さ発信、逆効果になることも?
「涼しい店内で快適に」などとアピールしても、実際の環境と差があるとお客様の信頼を失うリスクも。写真・表現・対応のリアルさが重要です。
事例①:「冷房完備」と書いてあったが暑かった
SNS投稿で「店内は涼しく快適です!」と書かれていたが、空調が弱く、来店者が不快に感じた。口コミで逆効果に。
事例②:店内写真が実際より広く見えてがっかり
清潔で広々とした写真を使用したが、実際は席間が狭く、熱気もこもっていた。期待とのギャップが評価を下げた。
事例③:快適BGMを謳ったが店内が騒がしく離脱
「落ち着いたBGM」と発信したのに、実際は厨房の音や客の声で騒がしく、静かに過ごしたい層が早めに退店。
5. 夏季限定の「体験型サービス」で話題化を狙う
🎯 集客施策:
- お子様向けの「流しそうめん」体験
- 自分でかき氷を作れるセット提供、DIYメニュー体験
⚠️ 落とし穴:
- 手間がかかる割に単価が低く、利益につながらない企画も…
⚠️ 話題化だけを狙った“体験”は逆効果になることも
SNS映えや「限定感」だけに頼った施策は、運営側の準備不足・オペレーション不備が露呈しやすく、期待値を裏切る結果に。体験型は“現場力”が命です。
事例①:「手作りかき氷体験」導入も大行列で炎上
SNSで話題になりすぎ、店頭に行列。十分な人員配置がされておらず、お客様対応が遅れて炎上。夏場の待機時間は不満につながりやすい。
事例②:「浴衣来店で割引」→混雑&混乱
浴衣で来店したお客様を対象とした割引サービスを実施。想定以上の来店で混雑が発生。判別対応も混乱し、レジやホールがパンク。
事例③:「子どもアイス作り体験」→衛生トラブルに
子どもが参加できる体験として好評だったが、衛生管理の周知不足で食品提供に支障。衛生基準・アレルギー配慮が足りなかった。
6. SNS広告・Googleマップ強化で「涼」を求める人を取り込む
🎯 集客施策:
- 「冷たい●●が人気!」などの視覚訴求型の写真投稿
- Googleビジネスプロフィールで夏メニュー情報を更新
⚠️ 落とし穴:
- 写真が古い、営業時間情報が間違っていて機会損失
⚠️ 「体験型」は準備不足だと逆効果!
イベント性を打ち出す体験型サービスは、準備や人手が不十分だとお客様の不満に直結します。楽しい体験の裏側に、しっかりとした運用設計を。
事例①:かき氷作り体験で長蛇の列に
「自分でかき氷を削れる」という体験が話題になったが、対応スタッフが足りず、30分以上待たされて不満爆発。レビューも低評価に。
事例②:浴衣着付けイベントで混乱
浴衣体験つきディナーを企画したが、着付け担当者が1名のみ。時間に遅れが出て、予約スケジュールが崩壊し、クレーム多数。
事例③:店頭ハーブ摘み体験が枯れていた
店先での「ハーブ収穫体験」がウリだったが、猛暑で植物が元気を失い、しおれた状態での開催に。期待して来た客ががっかり。
7. サブスクや回数券など“固定ファン”施策の導入
🎯 集客施策:
- 「かき氷食べ放題パス」「夏限定ランチ5回券」など
- リピーター向けのLINE・DM配信
⚠️ 落とし穴:
- 実質値引きで利益が減り、サービス内容と価格のバランスが崩れる
⚠️ サブスクや回数券は「継続されてこそ価値」
お得感や話題性で導入されがちな施策ですが、使いづらさや更新の手間がネックになり、逆に顧客満足度を下げてしまうリスクもあります。
事例①:回数券が有効期限切れでトラブル
「6回分まとめ買い」で割引を謳ったが、有効期限の告知が不十分で多数のクレームに。最終的に期限延長対応が必要になった。
事例②:サブスク更新方法がわかりづらい
定額プランの導入は好評だったが、更新手続きが複雑で途中離脱が多発。問い合わせ対応にも追われ、現場負担が増加。
事例③:“常連優遇”が他のお客様に逆効果
サブスク会員への特別対応が目立ちすぎ、非会員の不満を招いた。SNS上で「常連しか得しない」と炎上気味に。
✅ サブスク・回数券 導入成功のヒント
導入の前に「誰のためのサービスか」を明確にし、使いやすさと価値提供のバランスを整えることが成功の鍵です。
事例①:毎月限定メニュー付きサブスク
「月額1,980円で季節の1品無料+先行予約特典」を導入。会員数は月平均60名、来店頻度の増加とSNS投稿率もUP。
事例②:デジタル回数券で利用率UP
LINE連携でデジタル回数券を提供。紙券と違い“持ち忘れ”が減り、利用率85%超に。継続購入にもつながった。
事例③:“友達紹介付き”サブスクで認知拡大
紹介者・新規会員ともに「1ドリンク無料」特典。新規来店率が約1.5倍に伸び、紹介経由の来店が常連化しやすくなった。
サブスク/回数券 導入前チェックリスト
3つ以上チェックがつけば導入の準備は整っています!
✅ まとめ|“暑いからこそ行きたくなる店”になる
夏は、来店理由を“涼”と“体験”でつくることが売上UPのカギです。
単なる値下げや無理なキャンペーンではなく、**「快適で楽しい」「夏だからこそ」**と感じてもらえる工夫をしましょう。